ジュニアテニス|うちの子は練習では強いのに本番の勝負どころで引いてしまう

ジュニアテニスの試合における「勝ちビビリ」とフリーズ現象:練習通りの出力を阻害するメンタルバグを可視化した、夕暮れのコートで葛藤する選手のイメージ。

 ジュニア選手を指導していると、ある共通の「壁」にぶつかる時期があります。 それは、全く勝てなかった時期を脱して戦績が出始めたころです。
 練習では、鋭いボールを打って時には格上すら驚かせる。 しかし、いざ本番となると、それまでの躍動感が嘘のように消えてスイングが縮こまってしまう…

「なぜ、練習通りにやらないの?」

 外で見守る親御さんは、そんなふうに思ってしまうかもしれません。私自身、かつて一人のジュニア選手として、「体が硬くなって思い通りに動かなくなる現象=勝ちビビリ」をコートの真ん中で味わいました。
 この「勝ちビビリ」の正体は、メンタルと技術のフォーカスの曖昧さです。 「勝てる」と肌で感じるからこその消極的プレーに陥る必然的な罠です。

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「勝ちビビリ」は、結果だけに意識が向いているから

  勝負事ですので、当然のことながら結果が気になります。それを全く気にしないでプレイをすることは無理です。その欲と折り合いをつけながら、ジュニア選手であってもプレイヤーとしてコートに立たなければなりません。

  そして、勝てると感じながらプレイをすればするほど、リスクを負うことを脳は拒否します。場面として明確に現れるのは 、「このショットを決めれば流れを引き寄せられる」、「このポイントを取れば大きく勝ちに繋がる」といった場面です。

  裏を返せば「勝ちたい」→「失う恐怖」といえます。

  帯同や動画での分析で確認してみても、練習と試合では、明らかにフットワークは鈍くなりスイングのスケールは小さくなります。脳が「ミスを拒絶」した瞬間に起こる体のフリーズ現象です。では、このフリーズ現象、戦績に繋げる為にどのように克服していけばいいでしょうか。

 フリーズ現象を克服して、戦績に繋げるために

 まず大切なことは、プレッシャーがない場面のショットとプレッシャーから失敗した時のショットの違いを本人が確認することです。親御さんやコーチと共有しやすい観点からも映像での振り返りが大きな力を発揮します。
 フットワークは鈍くなっていないか、スイングのスケールは小さくなっていないか、体のベクトルは…など、細部に亘り確認しましょう。

 次に大切なことは、 そういった場面で何を意識するかということです。
 プレッシャーがない場面では、気にすることなく出来ていたショットでも、フリーズ現象によって出来なくなります。 従って、事前にそのような場面で何を意識するかということを決めておく必要があります。

 チャンスボールが来たら、〇〇。
 大事なポイントは、絶対に〇〇。

 この内容は、シンプルなことが重要です。
 練習で培った動作でも、フリーズすれば身体が忘れてしまいます。しかし、このネットワークのトラブルは、どこかの回路が復帰すれば正常に戻り始めます。多くのことに注意を向けるよりも、たった一つのことに全力で集中した方が、フリーズ現象から脱却して良いショットが生まれやすくなります。

「フリーズ現象」を打破する、論理的な脳のフォーカス制御

 たった一点、目の前の「一打」に脳のリソースを完全に同期させる。この反復こそが、世間で「メンタルの強さ」と呼ばれる正体であり、勝負の世界で積み上げるべき唯一の経験値です。 広い視野で見れば、戦績を上げるための日々の練習も、実はこの「フォーカスの純度」を上げるための訓練に他なりません。一朝一夕には難しい課題ですが、日々のルーチンとして脳の制御を習慣化すれば、フリーズというエラーを克服する日は必ず訪れます。

 見守る側の保護者からすれば、最短距離で勝利を掴んでほしいと願うのは当然です。しかし、勝負の世界は「1+1=2」のような決まった計算式では測れません。その計算不能な領域だからこそ、親子で挑む価値が詰まっているのだと私は確信しています。

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